脱税の損益計算
執筆者:税理士 飯沼 新吾 この資料全部お読みいただいて約32秒です。


 昨年末から、サッチーやハマツネ(元札幌国税局長)やら、お粗末な脱税事件が摘発されています。

 この人たちには、「思いっきりヒドイ目に遭わしてやらねば」と思うわけですが、現実的に脱税をするとどんな目に遭うのでしょうか。

 納税者(というより脱税者)Aを例にとって考えてみましょう。

(1)脱漏所得 ・・・・・・・・・・・
7億9,700万円
(2)国税本税 ・・・・・・・・・・・
3億9,700万円
(3)加算税等 ・・・・・・・・・・・
3億4,200万円
(4)地方税 ・・・・・・・・・・・
1億4,600万円
(5)罰金(一審判決) ・・・・・・・・・・・
  9,600万円
(6)(2)〜(5)合計 ・・・・・・・・・・・
9億8,100万円
(7)懲役(一審判決) ・・・・・・・・・・・
1年6ヶ月(実刑)

 この例では、約8億の所得をごまかしたために、約10億の税金その他を払わされ、挙げ句に1年6ヶ月の実刑判決を受けるという、実に踏んだり蹴ったりと申しましょうか、泣きっ面にハチと申しましょうか、とにかくエライ目に遭っています。

 このような巨額なケースでなくても、一般的に、損益的には脱税額が半分見つかった時点で、もともと真面目に税金を納めていたのと同じ結果になるといわれています。その上、後ろめたい思いをして、調査があるといえば夜も寝られなくなり、見つかれば、回りの人から冷たい目で見られるわけですし、まして自分の子どもに何をしたか説明できないわけですから、ウマイ話ではありません。

 私の立場から言わせていただきますと・・・
 この前白馬で立ち入り禁止地区に進入し、遭難したスノーボーダーを救出したレスキューがインタビューに答えて吐き捨てるようにこう言ってました。「進入禁止の危険地区に勝手に進入した人を、雪崩のリスクを背負いながら命がけで助けにいく我々の身にもなって欲しい。」 私も言わせていただきたい、「死んだ気になって税務署に必死に言い訳する私の立場になって欲しい」と。

 脱税は止めてください。



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