離婚による財産分与と税金について
執筆者:税理士 飯田 章治 この資料全部お読みいただいて約38秒です。

 最近、離婚されるご夫婦が増えているようですが、離婚により財産分与を受けた場合、取得した財産については、原則として贈与税は課税されません。
 これは、財産分与の目的が、婚姻中の夫婦が協力して築いた財産の清算、相手に対する慰謝料等であるため贈与税等の課税がなじまないからです。
 ただし、財産分与の額が社会的地位等を勘案しても著しく多額な場合(いわゆる社会通念上相当と認められる限度を超える場合)や、贈与税や相続税を免れる目的で意図的に離婚した場合(税金逃れのための離婚)には贈与税が課税されます。
 また、不動産を財産分与する場合は、譲渡所得が課税されますので注意が必要です。
 これは、不動産を売却しその売却代金を財産として渡すのと同じという考えですから、うっかりすると、家を分け与えたうえに譲渡所得にかかる税金まで負担するはめになりかねません。
 居住用の不動産を財産分与した場合は、3千万円の特別控除や軽減税率が適用されますが、この規定は配偶者や親族に対する譲渡については認められません。
 したがって、特別控除等を受けるためには、離婚が成立し晴れて他人となってから不動産の引き渡しを行うこととなります。
 あまりあせって手順を間違えると思わぬ税金の負担を強いられることになってしまいますので十分注意してください。


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