ワ−クシェアリングとは
執筆者:社会保険労務士 塚本英治 この資料全部お読みいただいて約60秒です。

 厳しい経済環境と、益々悪化する雇用情勢の中、ワ−クシェアリングに関する 議論が活発になってきています。新聞やテレビでもよく「ワ−クシェアリング」 が取り上げられる様になってきました。            

  そこで、今回は「ワ−クシエアリング」について述べてみたいと思います。
  「ワ−クシェアリング」とは仕事の分かち合いを意味し、従業員1人当たりの 労働時間を減らして、その分雇用を増やしたり維持したりする仕組みのことですが、 単に休日を増やしたり、労働時間を減らして、その分雇用を増やそうとしても簡単にはいきません。経営者側は、仕事の分かち合いとともに、賃金の分かち合いも考えていますし、労働者側は生活がかかっているから大幅な賃金ダウンは受け入れられない からです。

  「ワ−クシェアリング」の形態としては、
@緊急避難型
A雇用創出型 
B中高年対 策型 
C多様な就業対策型等がありますが、

@緊急避難型(1時的に労働時間の短縮 と賃金削減)は、1時的に整理解雇が回避されるに過ぎず雇用創出には繋がりませ ん。
A雇用創出型(恒久的に法定労働時間の短縮)が本来の「ワ−クシェアリング」の目指すところですが、導入は解決すべ き課題が多いとしています。日本型と言われる、年功賃金(日本の賃金は、生活給として世帯単位で考えられると ころが多い)のウエ−トの高い企業が多く、正社員の月給制とパ−トタイマ−の賃金格差が大き過ぎ、労働者側も 一家の支えてである者の大幅な賃金ダウンには応じられないからです。オランダ方式と云われ成功例に揚げられますが、オランダでは同一労働、同一賃金 の仕組みができ、正社員もパ−トタイマ−も賃金格差が余りないからです。我が国でも、パ−トタイマ−等、 時間給者間であれば導入が容易であると思われます。
B中高年対策型は、主に60歳代前半層の雇用を維持 する場合に考えられる方策ですが、C多様な就業対策型とともに、60歳以降の労働者については、経営者側も、労働者側も最も受け入れやすい方策です。60歳から65歳未満には高年齢雇用継続給付や在職老齢年金の併給があり、賃金が半分に成ったとしても影響が少なく、労働時間も多様化でき、経営者側も、それまで培ってきた知識や経験を活用することができ、人件費が大幅に削減する事が出来るからです。

今後この方式の導入は進むものと思われます。



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