遠くの登記所の登記事項証明書が欲しいとき−登記情報交換
執筆者:司法書士 山本 雅 この資料全部お読みいただいて約40秒です。

9月10日付拙稿で、昨年から一部の法務局で始まったインターネットによる登記情報の提供をご紹介しました。
その中で指摘した不満な点の中に
・日付や法務局の証明文言がなく、公的証明としては使いにくい。
というものがありました。
そこで今回は、遠方の登記事項証明書や印鑑証明書を取得できる「登記情報交換システム」についてご紹介します。
 このシステムは、
  (1)近くの法務局(登記所)で登記事項証明書を申請する。
  (2)申請を受けた法務局(登記所)はオンラインで登記情報を取得する。
  (3)取得した登記情報に基づき登記事項証明書を発行する。
  (4)手数料は通常料金+100円(登記事項証明書1通1,100円)
というもので、将来的にはどの法務局(登記所)でも全国の登記事項証明書がとれるようになる(現在は一部の登記所間のみで実施)というわけです。
オンラインシステムが構築されていく現状とコンピューターの機能を考えれば、たいした技術革新では無く、法務省の決断とちょっとしたプログラムの修正に過ぎないものでしょう。登記事項証明書1通1,000円と戸籍に比べて倍以上する手数料を取り、登記所統廃合により地域を犠牲にコンピューター化を進めてきた現状からすれば、むしろ、当たり前ともいえるものです。しかもこのシステムによる場合は割高になります。競争相手がいないというのは、のんきなものです。
ただ、登記事項証明書から管轄の壁が崩れだしたということは、売買や担保設定といった場合の通常の登記申請における管轄が無くなる前兆かもしれません。法務省の今後の動向が気になるところです。


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