「謄本」と「抄本」 | |
執筆者:司法書士 山本 雅 | この資料全部お読みいただいて約42秒です。 |
市役所で謄本といえば戸籍謄本が出てきますが、法務局で同じ事をいうと登記簿謄本の事になります。同じ「謄本」なのにどう違うのでしょう。 「謄本」 謄本というのは特定の書類のことではなく、原本の内容全ての写しという意味です。戸籍の写しは戸籍謄本ですし、登記簿の写しだったら登記簿謄本というわけです。登記簿謄本には末尾に「登記簿の謄本である」といった具合に書かれていますが、これは「登記簿全部のコピーです」という意味になります。 「抄本」 抄本というのも写しという点では謄本と同じですが、一部の抜き書きになっているという点で謄本と異なります。たとえば、戸籍謄本にはその戸籍に属する人の全員が記載されますが、抄本では一部の人のみが載っています。 このように、原本の内容に従い、いろいろな種類の謄抄本があるわけですが、戸籍や登記については事務のコンピューター化に伴い、それぞれ戸籍事項証明書や登記事項証明書に名前を変えつつあります。これらはコンピューターの電磁的な記録内容の「証明書」であっても、戸籍や登記の簿冊(書類)のコピー(謄抄本)ではない、ということでしょうか。 なお、戸籍謄本(戸籍事項証明書)には郵便小為替、登記簿謄本(登記事項証明書)なら登記印紙、と返信用切手を貼った返信用封筒を同封することにより郵便により取得することもできます。 また、法務局では昼休みの時間帯に登記簿謄本(登記事項証明書)を取り扱うようになっています。戸籍謄本(戸籍事項証明書)はかなり以前からそうでしたが、利用者の利便向上ということでしょう。ただ、まだあまり知られていないせいか、昼の当番に当たった職員が申請者を待ち構えているほどすいていることも多いようです。待たされるのが嫌いな方、昼休みを狙っていくのも良いかもしれません。 |