執行役員制度について
執筆者:公認会計士 柴田 博康 この資料全部お読みいただいて約58秒です。

 執行役員制度を導入する企業が上場企業を中心として増加傾向にあります。執行役員制度は、執行役員制度を導入することで取締役を削減し、会社全体の観点からの意思決定と各事業部門での業務執行を分離することによって、意思決定権限・責任の明確化と迅速で効率的な経営を図ることを目的とした制度です。

 執行役員制度の導入については、取締役会の迅速な意思決定と活性化、業務執行権限の委譲によるスピード経営の実現、リストラの一環としての取締役の減員などその会社の意図した目的によって執行役員制は構築されるものであり、執行役員の権限・役割・義務などが決定されていきます。

 執行役員は現行商法での規定は存在せず、商法上の取締役ではないと解されています。したがって、執行役員は取締役会によって選任され、代表取締役の指揮・監督のもと、権限と責任が付与され一定の事業部門の執行を担当する使用人となります。

 執行役員と会社との契約関係は、委任契約か雇用契約かは最終的には会社の政策的な判断に委ねられていますが、代表取締役の指揮・命令下で業務に従事し賃金が支払われている以上その契約形態は一般に雇用契約と解されています。したがって、執行役員も労働基準法上の労働者と認められます。

 執行役員に関する税務上の取り扱いについては、執行役員は通常の場合は税法上の役員に該当するとは考えられていませんので他の使用人と同様です。ただし、執行役員がその会社の経営に従事していると認められるときには、税法上のみなし役員に該当し、支給された賞与は損金不算入など他の取締役と同じ取り扱いになります。

 執行役員の登記については、現行商法上の取締役ではないので、その必要性はありません。

 以上執行役員制度について簡単に述べてきましたが、今後、積極的な経営改革にあたり執行役員制度の導入を検討する企業が大企業だけでなく増えてくるのではないでしょうか。


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