民間業者の「知的所有権(著作権)登録」の勧誘にご注意!
執筆者:弁理士 横沢 志郎 この資料全部お読みいただいて約54秒です。

(1)「民間業者の知的所有権(著作権)登録」とは?
 民間業者である[知的所有権協会]が行っている私的な登録です。
 この民間の協会が行なっている登録手続は、所定の用紙に発明等のアイデアを書き込み、手数料を添えて同協会に提出するという簡単なものです。そのうたい文句は、「日付印が押されて登録が完了し、これによって著作権が発生し、発明などのアイデアも特許権と同じように保護されるできる」というものです。

(2)被害の現状
 同協会は、著作権と特許権等の工業所有権とを混乱させ、著作権で発明等のアイデアを保護できるかのような説明を行い、これまでに、約17万件の登録を受け付けて、約4億円の収入を得たと推測されています。同協会の行為は、単なる金儲けであり、詐欺であると思われます。
 このような詐欺的行為や被害状況は、既に主要な新聞紙上、NHK、テレビ朝日その他において広く報道されています。また、弁理士会も、昨年の9月27日に、発明等のアイデアを「知的所有権(著作権)登録」することで特許権と同様の保護を得られると偽った登録料をだましとったとして、社団法人「発明学会」の豊沢豊雄前会長とこの関連会社で「知的所有権(著作権)登録」を行っている株式会社知的所有権協会の井上睦己社長を警視庁に告発したとのことです。

(3)だまされないように御用心を
 著作権は著作物を創作すると、それと同時に自然発生するものであり、本来、登録を必要としません。また、著作権では、「表現」は保護されますが、発明等のアイデア(技術的思想)は保護されません。
 一方、特許権を得るためには特許庁に対して特許出願を行なう必要があります。その場合、発明が新しく、簡単には考えつかないこと等の要件が必要となります。同協会に登録しても特許権は発生しないことは勿論のこと、同協会の助言等でアイデアを企業に売り込むとその行為により発明が公になり、せっかくの発明が特許をとれないことにもなります。 (どこの世界にも新手の商売を考える人がいるのは関心します。また、それにだまされる人が多いことにも、さらに驚かされます。皆さんは大丈夫ですよね?)


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